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地震に強い家=1.5倍強い家

社長ブログ,新築,増改築,耐震 2017年07月22日

 

 

長野県王滝村で今年6月にあった震度5強の地震で、2年前、2億円をかけて「震度6弱に耐えられる耐震補強工事」を行った宿泊施設が、地震で柱や壁が破損。現在は、どの程度の揺れに耐えられるかわからない状態という事で、今月は予約のあった約980人分をキャンセルし、8月も予約をすべて断る事態となっている、との報道が最近なされました。

 

王滝村によると、村内の宿泊施設のうち、6月の地震の影響で現在も休業しているのはおんたけ休暇村だけ。市は「宿泊棟が倒壊しなかったのは耐震工事のおかげ」と釈明し、調査機関に委託して被災後の耐震強度を確認するとしています。

 

この報道が正しければ、「震度6弱に絶えられる耐震補強工事」と言うフレーズが引っ掛かりますね。また耐えられるとはどの程度の被害を指すのかはわかりませんが、通常は耐震設計、耐震補強の基準としては「震度6強」の地震に遭遇した時を基準として、構造の評点が0.7未満=倒壊する。0.7~1.0=倒壊する恐れがある。1.0~1.5=一応倒壊しない。1.5以上=倒壊しない。と言う基準により耐震設計、耐震補強をしますが、想像では基準が1.0前後あるいは1.0未満だった可能性もあるかと思います。

 

今回は鉄筋コンクリート造の施設ですが、一般的な住宅に切り替えてお話しすると、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成11年法律第81号)に基づく評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号。の基準として耐震等級というものがあります。

 

○耐震等級1      建築基準法(法律)と同程度の建物

 

○耐震等級2      等級1で想定する地震の1.25倍に耐えられる

 

○耐震等級3      等級1で想定する地震の1.5倍に耐えられる

 

通常は建築基準法をクリアするだけの耐震等級1(震度6強の地震に遭遇した時に一応倒壊しないの評点1.0)であることが経済設計の点からも多いようです。

 

許容応力度構造計算で構造設計されている最高ランクの耐震等級3は、耐震等級1が耐えられる地震力の1.5倍の地震力に対抗出来ることになっています。

しかし、日経アーキテクチャーの記事によると、各メーカーなどで建てられた住宅の実大実験では、耐震等級3の建物の一回目の震度6強で揺らしたところ、最大115mmの変形が発生した等級3もあり、平均68mm耐震等級3の変形が確認されました。

続けて2回目の震度6強での揺らしではその変形の1.5倍~2倍の変形が発生し、それを大地震後の余震と考えると、余震後もその建物で生活することは困難といえます。

 

もともと建築法の耐震基準は「1度目の揺れで建物が倒壊しない」基準であり、大きな地震が生じた場合、居住者が取り敢えず安全に「避難する」事を前提としていて、地震後にその住宅に安全に住めることを保証した基準ではないからなのです。

 

ですから、本当に地震に強い家とは、「耐震等級や構造評点」を高くすることプラス「繰り返す揺れに耐えられる家」にすることが本当の意味の耐震住宅と言えるでしょう。

 

長くなりましたので、次回は、「繰り返す揺れに耐えられる家」にするにはどうしたら良いかをテーマにお話ししましょう。