防音室、音響室を造る。
先日、ピアノを本格的に習われると言うお子様のためのレッスン室のお問い合わせがあり、それに詳しくお答えした回答を紹介します。
【お客様の質問】
築9年の戸建てで、娘さんがピアノ練習を本格的に始めたいとのことで、家の角にある部屋を夜間でも練習できるよう防音室へのリフォームを考えています。どのような工事になりますか?
【私の回答】
6畳間を防音室(音響室)にするには、床・壁・天井を既存部分と縁を切り、独立させて構造を作ります。
内法は2mx3m程に小さくなります。天井高も2m程になるでしょう。
ドアは防音ドア、床・壁・天井は専用下地で作り、それぞれの取り合い部分は防音テープを貼り、音漏れの無いように施工します。
使用する資材は大建工業などの国産建材メーカーで音響資材を出していますので、問題はありませんが、設計段階から大事な作業になります。
以上がQ&Aですが、実際に防音室、音響室を計画する場合は、外部への損失音レベルだけではなく、内部の反響、残響、吸音、遮音など、素材の組み合わせを楽器によって少し変えますので、単純に防音室を作ると言う訳にも行きません。設計段階からきちんと計画するようになります。
楽器メーカーのヤマハやカワイなどには規格品の音響室もあります。ヤマハは「アビテックス」、カワイは「ナサール」と言う商品で、大きさはもちろんのこと、使用する楽器によって少し内容も変わっています。
下記の画像は、昨年計画した音大生のためのアパート併用の住宅の試案です。狭小敷地に建つ併用住宅ですので、第一案はレッスン室と居住スペースが同一ルームにしました。ヤマハのC3程度の大きさのグランドピアノを搬入設置できる計画です。
まず木造の躯体を設計し、その内側に躯体と縁を切る形で音響室を造ります。居住スペースと一緒になっており、窓などの開口部も2重になっていますので、コスト的にも防音的にも多少不利となっています。まだまだ検討の余地はあるプランですね。