「耐震基準の地域係数」とは?耐震設計をするにあたって必要な基準。
このブログでは、耐震についてのお話をテーマにして書いていることが多いとお気づきでしょうか?
建築基準法は昭和56年(1671年)に旧耐震基準から新耐震基準へと改正。その後平成12年(2000年)に新々耐震基準ともいうべき基準法の改正がありました。
内容については、過去のブログに明記しておりますが、今日は「耐震基準の地域係数」についてお話します。
まず、私たちが住む神奈川県などの耐震等級について簡単にお話します。
耐震等級1=震度6強あるいは震度7の地震に遭遇したときに倒壊しない耐震性能。
耐震等級2=耐震等級1の1.25倍の耐震性能。
耐震等級3=耐震等級1の1.5倍の耐震性能。
耐震診断の際には、2012年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」(一般財団法人 日本建築防災協会発行)の一般診断法、精密診断法1、精密診断法2(限界耐力計算・保有水平耐力計算)に準拠した耐震診断を行います。
耐震診断は、現地で間取りや柱の位置、筋交いの位置、屋根材や外壁、内壁の素材などを図面に起こし、「ホームズ君 耐震診断Pro」などの計算ソフトで計算をし、「上部構造評点」を出します。
その診断を基に耐震設計をして行きます。この「上部構造評点1.0」が耐震等級1と同等の耐震性能で、震度6強あるいは7の地震に対して「倒壊しない」と言う最低の基準になります。
しかし、「倒壊しない」という事は、あくまで「倒壊しない」ことであって、被害が無いという事ではありません。傾いたり一部損壊しますが、「つぶれない」という事です。
評点については、
0.7未満=倒壊する可能性が高い。0.7以上1.0未満=倒壊する可能性がある。1.0以上1.5未満=一応倒壊しない。1.5以上倒壊しない。
という基準になります。
横浜市(神奈川県)や東京都で耐震改修の助成金を支給する際の基準としては、上部構造評点1.0以上を最低基準にしています。
当社では、耐震リフォームの設計の際には1.25、新築の設計の際には、1.50をクリアすることを目標値としています。
この上部構造評点の基準は地域によって異なり、「地域係数」を定めています。熊本地方が地震が少ない地域という認識から、上部構造評点を0.8から0.9と低めに設定していました。
簡単に言うと神奈川や東京よりも1割から2割弱い建物でも「倒壊しない」と言う基準を定めていたので、熊本地震の際には震度7という強い地震に新築の建物でも耐えられなかった建物があったと言われています。
東海地震の震源に近い静岡県では、地域係数は1.0ですが、県内の建物の耐震化を進めるにあたり、静岡県独自の条例で建築基準法の定める1.0よりもさらに厳しい1.20を耐震基準として設計するよう求めています。
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なお、YouTubeに耐震診断と耐震補強をした場合の比較アニメーションムービーをアップしております。ご覧いただきたいと思います。
YouTubeのムービーはこちら ⇒ 「耐震診断から耐震設計。耐震補強後のシミュレーション。」