ロンドン火災のニュースを受けて、気になる事。
昨日のBlogの「外断熱と内断熱」の記事のきっかけとなった、ロンドンの高層アパートの火災に関連して気になったことがありました。
ロンドンの火災と同じような原因の高層ビルの大規模火災は、世界各国で発生しており、日本でも対岸の火事とはいかないようです。
2009年に神戸市内で発生したサンドイッチパネルの火災はサンドイッチパネルに使用されていた芯材の硬質ウレタンの溶融による延焼と言われており、消火に当たった消防士が発生した煙に巻かれ殉職するという痛ましい犠牲者まで出しています。
同様にビルや住宅の外断熱は、躯体の上に硬質ウレタンの断熱材を張り、通気層を介して外壁仕上げ材を施工する仕様がほとんどです。この場合、端部の処理を誤ると(通気水切りなどを付けないなど)、着火した硬質ウレタンの火が通気層を通って一気に燃え広がる事になる恐れがあります。
2010年5月に大阪市の消防局が実施した、硬質ウレタンを芯材にしている金属サイディングの延焼リスクの実験結果では、金属サイディングは着火から1分35秒後に700℃の高温になり、芯材の硬質ウレタンから大量の可燃性ガスを発生しながら燃焼を開始。その約1分30秒後に硬質ウレタンが焼失したという事です。
この実験から言えることは、隣家が火事になった場合、その火災の火が移りやすいと言えるでしょう
同時に実施した着火実験で、ポリイソシアヌレート芯材の金属サイディングや窯業系サイディングへの着火は起こらなかったとのことです。
私たち建築に従事するものとして、使用する資材や素材、工法を流行りだからとむやみに採用することを避け、リスクマネージメントを考えることの大切さを知るべきだと思います。