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Kアリーナ横浜の歩道橋ひび割れ

社長ブログ,新築,耐震 2024年06月24日

先日、興味深いニュースがあったのでそれについて少しお話しします。

5月末に流れたニュースですが、横浜みなとみらいの音楽ライブ専用の2万人を収容するコンサートホールの「Kアリーナ横浜」とみなとみらい大橋をつなぎ、イベント終了後の観客をスムースに横浜駅まで移動するための陸橋にひび割れが見つかり、供用(使用)を延期することになりました。

この歩道デッキは全長約130メートル、幅6メートルの鉄筋コンクリート製の構造で、Kアリーナ側で橋を支える橋台に幅最大3ミリのひび割れが約1・2メートルにわたり発生していたのが発見され、設計した会社で検証したところ、ひび割れの原因は詳細は分かりませんが、「設計ミス」という事でした。

 

そこで私が経験した少し古い事件を思い出しました。

 

以前、私が父の建設会社にいたころ(40年位前)、大手電機メーカーの川崎の工場で同じようなことを経験しました。

父の会社は戦後間もない頃より大手電機メーカーの工場内の土木建築を手掛ける建設会社で、基本的に設計は工場内の工務課というところが主として設計した(大手建設会社や当社などで設計することもありますが)ものを、登録している建設会社に発注する(競争入札)システムになっています。

 

横20m縦10m深さ10mの空間を持ち、その中に2台の製造機械を入れて稼働させる地下ピット(大手ゼネコンの清〇建設が設計)を受注し、私が現場管理責任者として施工し、周囲を埋め戻して、完成引き渡しという最終段階に差し掛かっていました。

ところが埋め戻しの途中で、コンクリートの壁にひびが入り始め、すぐに埋め戻し作業を中止し、工務課に連絡。

 

もちろん大騒ぎになりましたが、原因を調査するために、設計した清〇建設の担当者も構造計算を検証しなおし、施工ミスも考えられるので、第三者機関でコンクリート強度や鉄筋量なども非破壊検査で検査するなどをしました。

ところが、清〇建設が設計した構造に問題がなく、工務課で書いた設計図書に基づく当社の施工も、どれも問題がないことが判明。

原因がわからず、不思議がっていたところ、清〇建設の担当者が当初の設計図面と工務課で書き直した図面の仕様が異なっていることに気が付きました。

大手電機メーカーの工場の工務課担当が予算を削るために鉄筋量とコンクリート壁厚を自分の判断で仕様を変えてしまったため、構造的に弱くなってしまったというお粗末な原因でした。

 

結局当社で、内部から機械と干渉しない位置で鉄骨で補強する設計をし、引き渡し納期は遅れましたが、どうにか壊さずに機械を納め稼働させることができました。

 

構造計算書を改ざんした姉歯事件の時も当時のことを思い出し、今回のKアリーナの件でも、少し原因は異なりますが、この時のことを思い出しました。