トカラ列島群発地震と南海地震、東南海地震、東海地震、首都圏直下型地震について
2021年4月9日夜から、鹿児島県のトカラ列島近海で地震が相次ぎ、4月12日までに有感地震が200回を超えたとの報道がありました。震源近くの悪石島では震度4を5回観測しました。トカラ列島の近海ではこれまでにもしばしば群発地震が発生している地域です。
今回のトカラ列島の群発地震は、過去の群発地震と同様に、悪石島の南西20〜30km周辺の地下約20kmの深さで起きており、気象庁の解析によると北東―南西方向に圧縮軸を持つ「横ずれ断層型」とのことです。
今回のトカラ列島周辺の群発地震を南海トラフ地震との関連を疑う専門家もいるようですが、今回の群発地震は南海トラフ地震を引き起こすメカニズムの海溝型地震とは別物のようです。
海溝から約200km離れた場所(プレート表面までの深さは80〜100km)で、震源の深さ20kmの横ずれ断層型の地震が引き起こした群発地震で、海溝型地震ではなく、いわゆる「直下型地震」と言えるとも事です。
このような直下型地震と海溝型地震の因果関係は、科学的には認められていないようで、今回の群発地震を南海トラフ地震の前兆と考える根拠はないようですので、一安心です。
また、今回の群発地震発生域には、口之島、中之島、諏訪之瀬島の3つの活火山があり、震源に近い悪石島も、比較的新しい火山島です。群発地震と火山活動との関連性も気になる点で、これまでにも、群発地震の発生が火山噴火に繋がった例もあります。
伊豆地方は群発地震と海底火山の関連が指摘されているので、ニュースでもよく取り上げられているのを目にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、今回のトカラ列島群発地震は地下20km程度の深さで発生しており、群発地震と火山との関連する2~3kmの比較的浅いマグマ溜まりから地表へ向けたマグマの移動によるものとは違って、噴火の切迫性を示すものとは考えにくいといわれています。
しかし、それとは別に、日本列島の周辺では、東海、東南海、南海、首都圏直下型など、30年以内に地震の発生する確率の高い地震が迫っていることは事実です。
他山の石ではなく、このようなニュースをきっかけにでもよいので、地震への備えを怠らないようにしたいものです。