マンションリフォームの注意点:床の構造と水廻り② 1990年代~現在
社長ブログ,新築,増改築,リノベーション,マンション大規模修繕,水廻り,バリアフリー,リフォーム 2024年10月28日
前回のテーマである、「マンションリフォームの注意点:床の構造と水廻り① 1960年代~1980年代」のお話では、床の構造も変化をしてきており、コンクリートのスラブの上に木造で床組みをせず、直にニードルフェルトを敷き、グリッパー工法のカーペット敷きのマンションが建ち始めるお話をしました。
特にこの年代のマンションで採用された木造の床組みの場合は、仕上げはフローリングで仕上げており、上階からの生活音や子供の走り回る音などの騒音の問題が出てきました。
〇1990年代
1990年代になると、コンクリート直にカーペットではなく、防音基準をクリアした防音フローリングが普及し始めます。
当初施工された
防音フローリングは遮音等級がL-55やL-50などの低レベルのものが多く、遮音性のは低いものでした。
その後遮音等級の高いL-45やL-40などのフローリングが大手の建設するマンションでは標準採用されるようになります。
現在の防音フローリングの表記はL-45やLL-45という表記ではなくΔLL(1)-4等級(デルタエルエルワン4トウキュウ)という表示になってきています。
防音フローリングの普及により、ニードルフェルトとカーペットの床を防音フローリングに変更する工事が盛んにおこなわれるようになりましたが、管理組合の規約や規定の整っていないマンションは、低レベルの防音フローリングを施工したり、ひどいものになると木造用のフローリングをせっちゃ罪で張り付ける工事をする業者も現れました。
また、防音フローリングはコンクリートスラブに直に張ることにより性能を発揮しますが、管理組合によっては木造床組みフローリングの上に防音フローリングを張る施工を管理規定で推奨の施工方法とした誤った考えの管理組合も多々あります。
〇2000年代~現在
2000年代になると、集合住宅のトレンドは大きく変わることになります。
主要駅周辺や埋め立て地、工場移転などの用地確保による再開発が進み、タワーマンションの出現やオートロックなどのセキュリティを強化したマンションが建築されるようになり、防音のトレンドも、今までとは異なり、ボルト脚に防音のゴムを取り付けて、高さをアジャストできる万協フロアやフクビの防音プラ束などの二重床や、天井を直に仕上げるのではなく吊り木で下げて空間を作るようになりました。そのためワンフロア当たりの階高も高く取られるようになります。
二重床の場合、床下で防音をするので床の仕上げが、通常の合板のフローリングだけでなく、無垢のフローリングやタイル大理石などの石張りができ、仕上げ材の幅が広がりました。
二重床のメリットとして、ユニットバスの足部分を上げずに済むので、専有部分の床のバリアフリー化が可能となり、床暖房や対面式システムキッチンなど、デザインの自由度も広がることになりました。
そのため、床下の配管が可能となり、架橋ポリエチレン管を使用した「さや管ヘッダー方式」が急速に普及するようになります。
〇給排水設備の配管の種類
・下記に給水管の種類を列記しておきます。
金属製
- 亜鉛メッキ鋼管(白管)
- ライニング鋼管
樹脂製
- 塩化ビニール管
- 架橋ポリエチレン管
・給湯管の種類
金属製
- ライニング鋼管
- 銅管
樹脂製
- 塩化ビニール管
- 架橋ポリエチレン管
・排水管の種類
金属製
- 亜鉛メッキ鋼管(白管)
- ライニング鋼管
樹脂製
- 塩化ビニール管(耐火被覆の耐火二層管=トミジパイプ等を含む)
※漏水事故を防ぐ意味で、リフォーム・リノベーションの場合は、架橋ポリエチレン管や塩ビ管への配管交換が推奨されます。
今回で、マンションの設計コンセプト、特に床と水廻りの考えの推移と問題点をお話ししましたが、今回のテーマは一旦ここで完結といたします。
また次回以降このような参考にしていただけるお話ができればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。