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建築家の仕事、建築士の仕事-1- 建築家の設計=失敗例

社長ブログ,新築,増改築,リノベーション,戸建て,クリニック,リフォーム 2024年11月30日

建築家?

建築士?

 

建築士は建築士資格試験に受かって名乗ることのできる資格です。

それに対して建築家は、資格の有無を問わず、自称できる名称です。とは言いながら、建築家と名乗っている方のほとんどは1級又は2級の資格を持っているとは思います。

 

当社は、設計事務所の「株式会社メディック 一級建築士事務所」と建築会社の「株式会社メディック」を併設しており、1級建築士事務所登録をしている設計事務所部門は専用住宅やクリニック、店舗、事務所及びそれの併用住宅などの設計、デザイン、インテリアコーディネート、及びマンションの大規模修繕の長期修繕計画などの策定、及び大規模修繕のコンサルタントを業務とし、一般建設業登録をしている建設会社のほうは建築工事の施工部門の業務を担っています。

建築士事務所と建設会社を併設しており、それぞれの部門で独立して業務を行うこともありますが、設計から施工までをワンストップでやれるというのが当社の強みでもあります。

 

 

 

さて、今日のテーマは、前回の隈研吾氏の作品に続いて、建築家の仕事について私、長谷山が感じたり、経験してきたことをお話しします。

 

建設会社である「株式会社メディック」は他の設計事務所が設計した建築物の施工を依頼されたり、既に建っている建築物のリフォーム、リノベーションを依頼されることも多々あります。

往々にして「建築家」の設計・デザインした建物、特に住宅の中で一部の方の設計したものの中には不具合が生じるものも意外とあるなと感じます。

私が個人のクライアントから既に建築家(結構名の通った方)が設計した建物ののリフォーム・リノベーションを依頼された物件では、下記のような事例がありました。

 

1.横浜市金沢区の住宅

片流れ屋根(1枚で形成された、勾配を付けられた屋根)の一番上部の棟部分の破風(はふ)の垂れが少なく、軒裏を雨が伝い、建物内に進入する構造になっていました。

特に屋根を支える垂木(たるき)という無垢の木材を意匠的に現わしにして勾配がついているので、それを伝って雨が室内に浸入するのは目に見えています。

垂木と外壁の取り合っているレベルより下に破風を垂らしてあげれば、」雨が吹き込まず、雨水の侵入も簡単に解決するので、「原設計の意匠を損なわず」に既存の破風の内側にさらに破風を追加して雨が垂木に伝わらないように計画しました。

 

2.横浜市中区のクリニック併用住宅

1階が駐車場、2階がクリニックになっており、スタッフ専用の出入り口に通じる階段を構成する部材のうち、木のステップを乗せる横桟がステンレスの丸棒で作られ、シンプルで見た目の良い階段ですが、いかんせんステップを支えるステンレスの丸棒が直径18mmと細く、人が歩く振動で溶接部分が破断しかけており危険な状態でした。

ステンレスの溶接は冷えて固まる際に空気中の酸素や窒素が気泡として残り、溶接部分の欠陥に結び付くので「アルゴンガス」のような不活性ガスを吹き付けながらの溶接をします。

華奢なデザインのため、原設計を損なわないようにステップを支える部分を同じ断面のステンレスの丸棒を追加し、トラス(三角形状)構造にして、見た目は華奢ですが荷重や振動には強い構造にする計画を立てました。

ただし今回は屋外でしたので、足場を組んでシートで囲い、アルゴンガスが風に影響を受けないように作業しました。

 

「建築家」や「住宅デザイナー」の一部は、得てして見た目にこだわり、「ツボ」を抑えていない方が多いと感じますし、施工する側も今後の仕事のことも頭によぎり、「先生」には逆らえないので、「そこはこうしたほうが良い」と思っても口には出さず、スルーしてしまう傾向にあるようで、こういう事例は意外とどこにでも転がっています。